TPP(環太平洋経済連携協定)とはなにか、一言で言えば世界の経済支配をめざすアメリカ(実際は、世界の金融資本と多国籍企業)の世界戦略です。そこでは、なによりも資本の自由な移動と、経済支配が最大のねらいとなっています。
● 食料支配から経済・政治の支配へ
アメリカのジョージ・ブッシュ前大統領は米国農業クラブ連盟の会員向け演説で、「国民を養うのに十分な食料を育てられない国を想像できようか。そんな国は国際的圧力に従属(服従)させられた国であり、危険にさらされた国家なのだ」(2001年7月)と述べています。
この演説内容を見れば明らかなように、アメリカの狙うことは、自らは食料大国となり、食料を通じて他国、とりわけ日本を支配しようとしているのです。私たちもこの危険を感じるがゆえに、食料自給率を現行の4割から5割にするという政府 方針の実現を強く望んでいます。
● 農の多面的な価値―
TPPはそれを壊す
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農業は、生存に不可欠な食料を生産する・・・だから、市民こそ農業の守り手となることが重要です。 |
| A |
農業は、地域社会と地域の文化、自立して生きる人間をつくりあげます。 |
| B |
農業は、水と土壌を守る、環境を守ります。 |
| C |
農業は、半農半漁(農業と漁業が相互に補完しあうこと)などを通じて漁業も林業も守ります。 |
| D |
土地と農業は、次代に生きる人々からの借り物です。次の世代が、日本のこの土地の上で、持続的に生存する条件を、いまを生きている世代が奪う資格はありません。 |
● 政府発言に根拠なし
政府は「TPP参加と日本の農業の強化の両立は可能だ」と主張していますが、そこにはなんら根拠もありません。耕作面積を比較して考えてみましょう。
北海道における1戸当たりの耕作面積と比べて、アメリカは10倍、オーストリアは100倍という違いがあります。当然「生産性格差」が生まれるのです。その結果、米・小麦・大豆などの輸入穀物が激増し、日本の食料自給率は13%に減少してしまいます。人・物・サービス・金融分野の自由化の影響もあって、雇用が350万人も減少し、地域経済に大打撃を与えると想定(農林水産省の試算)されています。
どの政党も強調したように、自由貿易の徹底ではなく、"多様な農業の共存" こそ必要なのです。
<参照> 国境措置撤廃による主要農畜産物等の影響 (試算:農林水産省)
| 品目名 |
生産量
減少率(%) |
生産減少額
(百億円) |
今回の試算の考え方 |
| 米 |
90 |
197 |
新潟コシヒカリ、有機米等のこだわり米等を除いて置き換わる。 |
| 小麦 |
99 |
8 |
国内産小麦100%をセールスポイントとした小麦粉用小麦を除いて置き換わる。 |
| 甘味資源作物 |
100 |
15 |
品質格差がなく、すべて置き換わる。 |
| 牛乳乳製品 |
56 |
45 |
乳製品では、鮮度が重視される生クリーム等を除いて置き換わる。飲用乳では、業務用牛乳等を中心に2割が置き換わる。 |
| 牛肉 |
75 |
45 |
4等級及び5等級は残り、3等級以下は置き換わる。 |
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● 自給力を高めるのは全国民
食料の地域での自給力を高めるのは、農民だけの課題ではなく、消費者を含めた全国民が担うべ き課題です。このことは、世界中で重視されています。
アメリカでは、輸出農産物と違う分野で地域支援農業(コミュニティ・サポーテット・アグリカルチャ=CSA農業)が発展しています。
ヨーロッパなどほとんどの国では、自国の農業を大切にして、主食は毎回自国産の同じものを食べるという食生活が形成されています
食料危機の状況を考えると、日本でも意識的に、自分の周辺でとれたものを大切にする食習慣をつくる必要があります。それは難しいことではなく1970年ごろの食生活に戻ればすむことです。
生ごみ(食品残さ)などに含まれる有機質を大切にした地域循環農業を確立して、食料自給力を強めることです。 |