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記念講演をする
中島 紀一氏 |
茨城大学農学部長 中島 紀一 氏
総会後の記念講演は、一昨年講演していただいたツルネンマルテイ氏とともに、有機農業推進法制定を推進する協議会の会長として尽力された中島紀一氏でした。
世界の食料危機と環境破壊が進んでいる現状、CO 2 削減には土壌の役割が高いこと、有機農業推進法ができた経緯、日本の農政の変化などについて、約 1 時間 40 分に亘って講演されました。以下に講演要旨のみを掲載します。
アフリカ会議から
アフリカでは、欧米や日本への輸出のための農業になり、自分たちの食料は安い穀類のアメリカからの輸入に頼っている。砂漠化が進み、住民は都市へ流れ、スラム化していること、先進国の援助と自給的農業の再生が急がれている 。
自給率アップへ
世界の世論は想像をはるかに超える劇的な変化だ。「輸入促進を」「自給は最悪」という見解だったWTOも、「各国で自給できるようにするのが最大の課題」と変化した。地球温暖化により生産量が不安定で、世界の食料生産は伸びていない。バイオエタノール生産による需給バランスの崩れや、アメリカの投機資金が穀物市場に入り込み、当分 食料価格の暴騰は止まらない。
日本の農業政策は、小泉政権が自給率向上よりも零細農家の切り捨て、大型経営化を進めてきたが、最近になって急激に食料の安定供給を優先する政策に変わってきた。
福田首相は「金を払えばいくらでも輸入できると言っていたが、そうはいかない」と言わざるを得なくなった。 39 %の日本の食料自給率を大幅に引き上げていかなければならない。
食の安全 根本的な見直しを
食の安全が脅かされている。偽装や危険が伴う安い輸入食品、冷凍食品に頼る食政策から脱皮するために、食の安全を根本から考え直すときだ。 自給率を上げるには食育と地産地消を推進する。すでに学校給食も栄養改善の目的から、食育のための給食への転換が行なわれている。
土壌はCO 2 のストックヤード
土づくり農業の持つ環境への貢献を、改めて見直すことが重要だ。化学肥料と農薬万能の現状の農業はCO 2 削減と対立しているが、有機質による土づくり農業はCO 2 を吸着し、炭素をストックする。土壌はCO 2 のストックヤードになる 。
有機農業こそ人類永続の農業
有機農業は、自然の摂理を生かして健康な食料を生産する、人類永続の本来の農業だ。有機JAS認証の農業とは違う。現在のJAS法に基づく農業ではやればやるだけ元気がなくなり、認証離脱が多くなる。有機農業は当たり前の農業として定着させなければならない。国と市町村は法律にあるように推進責任がある 。
中島氏は『次の世代によい環境を残し、安全な食料を生産できるしくみをつくっていくために、もうひと働きしよう』と呼びかけられました。
会場からは家畜の山野への放牧や飼料確保のこと、米の需要回復、米粉の活用、自給率を上げる手立てなど、多くの質問・意見が飛び交いました。 |