実証実験:生ごみ堆肥によるレタス栽培実験T
―――環境事業団の助成を受けてスタート―――
「生ごみ堆肥は本当に使える?」
この疑問に答えるための実験を行なっています。

 生ごみ堆肥は、堆肥利用の農業生産者にようやく使われるようになりました。収量など成果を上げていますし、作物に害を与えることもありません。
 しかし、生ごみを原料とする堆肥に対する農業生産者の評価は、決してよいものではありません。それは、風評として、塩分障害やプラスチックなどの異物、重金属の混入の危惧などが言われ、不安と不信を持っているからです。
 そこで、生ごみ原料のみで発酵堆肥をつくり、有機肥料として利用した栽培実験、しかも出荷規模のほ場での栽培実験を行なうことにしました。2001(H13)年度より3ヵ年とし、02(H14)、03(H15 )年度は環境事業団地球環境基金助成事業となりました。
 以下報告します。
第1回報告(2002年6月1日)
〔実験の主旨〕
 生ごみは燃やさず埋め立てずに、分別して堆肥にし、豊かな土と健康によい農作物づくりに生かすことです。生ごみ堆肥化の運動がはじまって10年余り、本格的な農業利用は、まだまだこれからです。生産者からの不安の声、例えば「生ごみを農地に入れて大丈夫か」「肥料効果は?」「塩分や油分の障害は?」があります。実際に使っていない方が多い中で正確な情報は伝わりません。この解決には、実際に生ごみ堆肥を製造し、生産者に出荷生産規模での実証実験をしてもらうこと、そして、その結果を公表することが必要と判断して、平成13年にはじめて実験しました。評価に充分耐えるものでしたが、前年の肥料の残りもあることから、3年続けて実験を積み重ね、生産者の検証に足る生産実験を行なうことにしました。

〔実施方法〕

1,  発酵生ごみの製造のため、静岡県下の給食センターと袋井市のスーパーより 調理くず・食べ残し、食品残さを東海マルタ堆肥センターに搬入する。3週間かけて仕上げる。
2,  出来上がった発酵生ごみ堆肥の成分分析および重金属分析を専門機関で行なう。
3,  レタス栽培のほ場である長野県川上村の(有)八ヶ岳ナチュラルファームへ、発酵生ごみ堆肥を東海マルタ堆肥センターより搬出する。
4,  (有)八ヶ岳ナチュラルファームはレタスの育苗や、実験用ほ場の土壌分析を専門機関で行なう。
5,  (有)八ヶ岳ナチュラルファームは発酵生ごみ堆肥をほ場10eに散布後、レタスを植え付ける。
6,  講師が生ごみ堆肥による栽培管理や技術指導をする。またスタッフは現地を訪問し、ほ場の様子や栽培状況を視察し、発酵生ごみ堆肥を投入していない他のレタスとの育成比較を調査する。
7,  スタッフはレタスの収穫に立ち会い、L、M、S玉の出現率や味覚調査をする。
8,  川上村にて関係者(当協会理事、八ヶ岳ナチュラルファーム、講師)は発酵生ごみ堆肥によるレタス栽培に関する評価、解析、及び課題を泊まり込みにて実施。それを原稿にまとめ、記録とする。
また、生ごみ堆肥の農業利用を検討している自治体など関係団体に配布し、運動前進に役立てる。
9.  これらの様子をホームページにて公開する。

実施者: 堆肥製造者=鞄穴Cマルタ堆肥センター 社長 本橋克己 氏
生産者=(有)八ヶ岳ナチュラファーム 代表 川上紀夫 氏

〔実施スケジュール〕
平成14年4月
  • 東海マルタ肥料センターへ静岡県下の給食センターの食べ残し・調理くずの乾燥生ごみと袋井市のスーパーの食品残さの乾燥物を搬入
  • 東海マルタ堆肥センターで発酵ごみ堆肥の製造
  • 成分分析と重金属分析を行なう
  • (有)八ヶ岳ナチュラファームの圃場へ発酵ごみ堆肥搬入
  • レタスの育苗
5月
  • 土壌分析。 
  • 発酵生ごみ堆肥をほ場散布
  • 苗の植え付け
6月
  • 講師による生ごみ堆肥を利用するにあたっての栽培管理や技術指導
  • スタッフによる栽培状況の視察及び他のレタスとの栽培比較調査
7月
  • レタス収穫
  • スタッフは収穫に立ち会い、レタスのL、M、S玉の出現率や味覚調査をする
10月
  • 当協会と(有)八ヶ岳ナチュラファームによる分析まとめ作業
12月〜1月
  • 報告書作成
生ごみ堆肥の製造

生ごみ堆肥作りの3つのポイントは、
@微生物を活用して発酵処理をすること。
A生ごみの鮮度を保ち、腐敗させないこと。発生場所で乾燥処理することは有効。
B生ごみの成分に偏りがあまりないこと。ごはんだけとか、油ものだけでないこと。
です。

〔写真1〕 〔写真1〕静岡県下の給食センターから届いた乾燥された生ごみの搬入。
〔写真2〕静岡県下の給食センターの乾燥生ごみ。
 給食の調理くずと食べ残しを乾燥機で乾燥させたものです。
〔写真2〕
〔写真3〕 〔写真3〕袋井市内にあるジャスコ店の乾燥生ごみ。
 主に野菜くずを乾燥させたものです。成分としてはやや偏りがあります。


 それぞれの乾燥物の成分分析を行ない、その特徴を把握しました。


〔写真4〕完成した発酵生ごみ堆肥(ペレット状)。
 この2種類の生ごみの乾燥物を混合して種菌を入れ、含水率50〜60%に調整します。
 週1回切り返しをし、発酵場に堆積、温度は60℃まで上がります。3週間で生ごみ堆肥ができあがり、ペレット加工をしました。
〔写真4〕
生ごみ堆肥製造完了
 4月15日〜20日。生ごみ発酵堆肥製造が終わり、さっそく、川上村に発送しました。
 川上村では5月から作付けの準備を始めました。




<まとめ>
 NPO法人有機農産物普及・堆肥化推進協会は、 ( 有 ) 八ヶ岳ナチュラファームの川上紀夫氏、(株)東海マルタ、東京農工大・瀬戸昌之教室の協力を得て、生ごみ堆肥の有用性を実証実験してきました。良質生ごみ堆肥の製造、塩分の不安、生ごみ堆肥の施用技術、レタスの品質などを実験により調査・研究してきました。
 実証実験は、 ( 有 ) 八ヶ岳ナチュラファーム・川上紀夫氏の圃場 10 アールで、 2001 年(平成 13 )よりを開始し、 2003 年(平成 15 )までの 3 年間、行ないました。生ごみ堆肥は、(株)東海マルタが成分を勘案し、製造しました。塩分調査は東京農工大・瀬戸昌之教室が行ないました。
 この中で土壌に塩分の集積もなく、レタスの収量もよく、にがみやえぐみもなく、消費者の高い評価、そして、生ごみ堆肥でコスト削減にもなり、生ごみは立派な循環資源であることを明らかにしました。
 04 年より規模も 130 アールに拡大し、レタスの本格栽培を開始しました。
 その後、更に 5 ヘクタールに拡大し、 2010 年で通産 10 年目になりました。川上さんのレタスは、みずみずしく、甘くて消費者からひっぱりだこです。

 ⇒ビデオ「生ごみ堆肥で地産地消…栃木県高根沢町・芳賀町・茂木町、八ヶ岳の農家の果敢な挑戦」 で川上紀夫さんの取り組みを観ることができます。

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